妊娠すると多くの女性が「鉄分不足」に悩まされます。

なんだか疲れやすい、頭痛がする、顔色が悪い・・・など、様々な貧血の症状がありますが、それに気付いていない人も少なくありません。

妊娠中の貧血はそのまま放置しておくとお腹の中の赤ちゃんにまで悪影響を及ぼしてしまいますから、出来るだけ早期に対処しておきたいもの。

そこで今回は、貧血時に起こる症状と鉄分を補給する方法についてお伝えしていきます。

鉄分不足でお悩みの際はぜひ参考にしてみてください。

妊婦の鉄分不足が影響する症状

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もともと女性は男性よりも貧血になりやすいものですが、妊婦の約30~40%が貧血だともいわれています。

参考:日本は「貧血大国」だ――妊娠を考えている女性は、貧血の恐ろしさを認識してほしい|ハフィントンポスト

妊娠するとお腹の中の赤ちゃんの分まで血液を作り出さなければばらなくなりますので、どうしてもママは貧血になってしまいがちなのです。

鉄分不足による症状については以下のようなものが挙げられます。

  • めまい、立ちくらみ
  • 手先、足先の冷え
  • 疲れやすい
  • 頭痛が頻繁に起こる
  • 視界が暗くなる
  • 動悸、息切れ
  • 顔色が悪い(青白い)
  • 手足の感覚が変わる
  • 氷などを食べたくなる(氷食症)

関連記事:妊娠初期は疲れやすい。いつまで続く?お腹の赤ちゃんへの影響は?

鉄分不足だと太りやすくなる?

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また、鉄分が不足することは、実は「肥満」とも関係があります。

脂肪の代謝には血液中の酸素が必要ですが、鉄分が不足していると血液中の酸素も欠乏してしまいますから基礎代謝がスムーズに行われなくなり、結果太りやすい(痩せにくい)ということになってしまうのです。

妊娠中は味覚の変化やつわりなど食事から十分な栄養素を補えなくなることが多々ありますが、出来るだけ脂肪分や糖分の少ない食べやすいものを食べるように心がけ、鉄分不足を補うことを頭に入れておきましょう。

お腹の赤ちゃん(胎児)への影響は?

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鉄分不足はママだけでなく、お腹の中の赤ちゃんにも悪影響を与えてしまいます。

鉄分不足によって十分な酸素や栄養が赤ちゃんに行き渡らないと、未熟児や低体重児、虚弱児となる可能性があります。また、出産後に発育の遅れが見られる可能性もあります。ですから、妊娠初期から早めに鉄分不足に対する対策をとる必要があるのです。

妊婦は鉄分不足になる原因は?

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女性はもともと毎月の生理があるために貧血になりやすいのですが、妊娠するとママ自身と赤ちゃんの2人分の血液を作り出さなければならなくなりますから、さらに鉄分不足に陥ってしまいやすくなります。また、血液を作る量が2倍になっても、濃度は2倍になってくれません。つまり、「薄まった血液が循環している」ということになるのです。

このことを知らない人も多く、妊娠中の鉄分不足がもたらすリスクや認識がまだまだだともいえるでしょう。

妊婦さんが必要な鉄分摂取量は?

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出典:厚生労働省

一般的な成人女性(且つ、生理のある状態での妊娠対象年齢の女性)が1日に必要とする鉄分の摂取量(推奨量)は10.5~11.mg。それに対して、妊娠初期は+2.5mg、中期・末期(後期)は+15.0mg必要になってきます。

参考出典:日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要(PDF)|厚生労働省

(※人によっては通常時に12.mg、妊娠初期+2.6mg、妊娠中期+12.9mg、妊娠後期+17.5mgであったり、妊娠中はひとくくりで20mg、もしくは21~21.5mgなど所説あります。)

妊娠する前から貧血気味だった人はさらに積極的な鉄分摂取が必要ですから、普段の食事+サプリメントの活用で上手に鉄分を補うように心がける必要があるでしょう。

あわせて知りたい!ヘム鉄・非ヘム鉄の違い

なお、鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」とがあります。「ヘム鉄」は動物性の食品に多く含まれており、吸収率も良いのが特徴です。レバー、あさり、かつお、イワシなどに多く含まれています。一方で「非ヘム鉄」は植物性の食品に多く含まれており、ヘム鉄と比べるとあまり吸収率が良くありません。ほうれん草、ひじき、小松菜、大豆食品などに多く含まれています。

妊娠中は鉄分摂取量が増える以上、出来るだけ吸収率が良い「ヘム鉄」から鉄分を補うことが摂取としては効率的ではありますが、非ヘム鉄でももちろん鉄分接種が出来ることには違いありませんので、各食品や鉄分を摂取できるサプリなどを利用する際は、これらの特徴を知っておくと、より上手に鉄分を摂取できる助けになります。

妊婦の鉄分不足対策におすすめの食事

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妊娠中は鉄分だけでなく、その他にも血液を作るために必要な「ビタミンB12」「葉酸」も欠かせません。これらは緑黄色野菜に多く含まれていますから、スムージーや野菜ジュースなどにして摂取するとよいでしょう。そううすれば、一度にたくさんの野菜を手軽に摂取することが出来るのでおすすめです。

ビタミンCと一緒に摂るとオススメ

なお、鉄分はそれだけでは体内に吸収されにくいという特徴があります。そこで活躍してくれるのが「ビタミン類」。ビタミンは鉄分の吸収をサポートしてくれますから、出来るだけ鉄分とビタミンをセットで摂取することが望ましいとされています。鉄分が含まれている大豆製品やひじきなどを、ビタミンCを含むブロッコリーやっ小松菜などと一緒に料理するなどの工夫をしてみてください。

食後に果物を食べることも○。ですが、果物には糖分が含まれていますから食べすぎには注意しましょう。

関連記事:胎児の栄養のもらい方は?妊婦の栄養補給は赤ちゃんの成長に影響する

鉄分摂取におすすめのレシピ例3選

「小松菜の炒め物(2人分)」 ①乾燥はるさめ(20g)を熱湯で戻し、食べやすい大きさに切る。 ②豚肉(4枚)は2~3cm幅に切り、塩こしょうする。 ③小松菜(2分の1袋)を4cm幅に切る。 ④フライパンを中火~強火で熱し、②を炒める。 ⑤③を加えて炒める。 ⑥材料をフライパンの端に寄せ、空いているスペースにしょうゆ(大さじ1)、酒(大さじ1)、みりん(大さじ1)、片栗粉(小さじ1と2分の1)を入れ、①を加えて炒める。

出典:クックパッドより

ほうれん草と油揚げの煮浸し(2人分)」 ①ほうれん草(3株)を4~5cmにザク切りし、油揚げ(2枚)を2cm幅で切る。 ②鍋に水(100CC)、和風だし(小さじ2分の1)、酒(小さじ2)、しょうゆ(小さじ1)を入れ、火にかける。 沸騰したら油揚げを入れる。 ③1分ほど似た後、ほうれん草を加え、ふたをして弱火で3~5分ほど煮る。

出典:クックパッドより

鶏レバーの煮物(2人分)」 ①焼き鳥のレバーを串から外し(約4串分)、れんこん(100g)は乱切りにする。 ②ごま油を熱し、弱めの中火でれんこんを炒める。 ③②にレバー、しょうがの薄切り(3枚分)、酢(50CC),水(50CC)、しょうゆ(大さじ2分の1)、みりん(大さじ1)、砂糖(大さじ1)を加え、5分ほど煮る。

出典:クックパッド より

妊娠中期・後期からは、より積極的な鉄分サプリの活用を

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妊娠中期~後期に入ると、妊娠前の約2倍もの鉄分摂取が必要になってきます。その鉄分をすべて食事から補うことはとても難しいですから、足りない部分はサプリメントで補うようにすると良いでしょう。もちろん、普段の食生活を見直し、出来るだけ鉄分を多く含む食事を摂ることが大事ですが、妊娠中はなにかと負担が多く、食事内容を工夫することが難しいことも事実です。手軽にどこでも飲むことが出来るサプリメントは、そんな妊婦さんの心強い味方になってくれることしょう。

まとめ

妊娠中の鉄分不足は、ママだけでなく赤ちゃんにとっても悪影響を及ぼしてしまいますし、産後の授乳トラブルを招く可能性もあります。普段から出来るだけ鉄分摂取を心がけることが大切ですし、もしも貧血になってしまったら、早めに適切な対処をすることが大切なのです。食生活の見直しやサプリメントの活用など、出来る範囲で貧血予防に努めていきましょう。