急なタイミングで“どうしても子どもを連れていけない”“誰かにあずかって欲しい”、そう思って「ベビーシッター」を考えたとことはありませんか?

ただ、その一方で昨今のベビーシッターにまつわる事件を背景に、自分の子どもを預けても大丈夫なのか?そもそもベビーシッターサービスはどのように利用するものなのか?まだ知識が少ないので迷ってしまう、そんな悩みをお持ちの方もいらっしゃるかとも思います。

ここではそんなベビーシッター業界事情の裏側と、いざという時のベビーシッター選びのポイントについてお伝えします。

埼玉県富士見市のベビーシッター事件

pexels-photo-89695

ベビーシッターとして預かった横浜市の2歳男児を窒息死させたなどとして、殺人や保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ致傷などの罪に問われた物袋(もって)勇治被告(28)に対し、横浜地裁は20日、起訴内容すべてを認定し、懲役26年(求刑・無期懲役)の判決を言い渡した。

出典:2歳児殺害:ベビーシッターに懲役26年 横浜地裁 – 毎日新聞

 判決によると、物袋被告はインターネットのベビーシッター仲介サイトに別人を装って登録し、2014年3月、横浜市の女性にメールを送るなどし、男児と弟を誘拐。埼玉県富士見市の自宅マンションで男児にわいせつな行為をした後に窒息死させたほか、弟に必要な世話をせずに重度の低血糖症に陥らせた。

出典:2歳児殺害:ベビーシッターの男、2審も懲役26年判決 – 毎日新聞

2016年7月20日に判決が下った埼玉県富士見市のベビーシッター事件は記憶に新しいところです。

事件の際、母親は何をしてたのか?

仕事をしていた、遊んでいたなど色々な憶測が飛び交っているようで真相はわからないですが、普段からベタ付きで子供と一緒にいられる状況ではなかったことがうかがえます。

また、ベビーシッターにまつわる事件は芸能界にも。

神田うのさんがベビーシッターにブランド品や貴金属が盗まれた事件

pexels-photo-115566

タレントの神田うのさん(40)が、長女(3)のベビーシッターだった女性(60)にブランド品や貴金属を盗まれていたことがわかった。

引用:神田うの、ベビーシッターに2000万円相当を盗まれる|ハフポスト

一時期ワイドショーを賑わせたこの事件、一般人だけではなく、ベビーシッターにまつわるトラブルは芸能界でも同様に起こりだしています。

利用者や業界の裏側はどうなっている?

6f8067c4ec5ec9305714a6515321643f_s

こういったベビーシッター事件の影響もあり、業界へのマイナスな印象もある一方で、ベビーシッターへの需要は年々高まってきています。また、それに応じてベビーシッター事業所の数も年々増加しています。

今回の事件は埼玉県でしたが、ベビーシッターサービスを利用する機会が多い地域として挙げられるのが東京・大阪・名古屋・福岡。

それぞれ人口も集中している都市であるがゆえに待機児童数問題がその背景にあります。

中でも大阪、名古屋、福岡は全国と比べても待機児童数が圧倒的に多いと言われており、その悩みを解消すべく、ベビーシッターサービスに期待がかかるところです。

ベビーシッターの利用目的は?

全国保育サービス協会がベビーシッター・サービス利用者を対象に行なったアンケートによると、以下の理由でベビーシッターサービスを利用されています。

  • 「仕事のとき」:68.9%
  • 「保育園・塾などへの送迎ができないとき」:36.1%
  • 「子供が病気のとき」:34.4%
  • 「冠婚葬祭などの社会的事由」:23.9%
  • 「自分(親)の自己実現や社会参加活動のため」:21.7%

元々は富裕層向けのサービスとして考えられていたベビーシッター。

ですが、いまでは核家族化の進展や共働き世帯の増加、少子化に伴う1人あたり養育費の上昇に、待機児童の問題から見る公的な保育という受け皿の不足、といった社会的な背景により、富裕層だけでなく一般層でのベビーシッター利用機会も増加してきています。

現在の事業社数は?

ベビーシッター事業社数が日本一のエリアである東京を例にあげると以下のようになります。

・東京

2013年:142
2014年:162
2015年:170

年々増加傾向にあるのが見てわかります。ですがその一方で、悩みをかかえているとお伝えした大阪・名古屋・福岡の場合、以下のようになります。

・大阪

2013年:25
2014年:28
2015年:27

・名古屋(愛知)

2013年:28
2014年:27
2015年:25

・福岡

2013年:20
2014年:19
2015年:20

ご覧のように大きな変化がありません。(もしくは微減。)

つまり、待機児童にまつわる問題はまだまだこれからの段階なんです。

(各データ参考:社団法人全国ベビーシッター協会(ABA)「ベビーシッターNOW」より)

ベビーシッターには国家資格が無い

上記で事業社数の一例をあげさせていただきましたが、現在ベビーシッターには国家資格というものがなく、また自治体への届け出の義務もありません。そのため、上述した事業所以外の業者も数多くあります。

ただし、法的な制限がないために行政が全てをチェックできているわけではなく、事業者数の実態も正確な数は把握できていないのが現状です。

よって、中にはサービスの質に心配のあるベビーシッター業者が数多く存在しているのも実情。

このような状況が今回のようなベビーシッタートラブルを引き起こしているともいえます。

ベビーシッターはまだ十分な情報が少ない

bbabfb954962537388b480b91df3740a_s

このような状況からもわかるように、日本にはまだ「ベビーシッターの文化」というものが根付いておりません。

そのため、いざサービスを利用しようと思ってもベビーシッターというサービスに対してあまりにも情報が不足している状況なので“そもそも何もわからない、不安、怖い”といった方が多い状況です。

※参考意見として※

急遽旦那の仕事で付き添わなくてはいけなくなり、友人に子供を見てもらうはずだったのですが都合が悪くなってしまいベビーシッターを依頼しようと思ったのですが、どこかいいベビーシッター会社はありますでしょうか?

もしもの時にベビーシッターの利用も検討していますが、利用されたことのある方のお話を聞ければ幸いです。

ベビーシッターを頼もうと思いますが、かなり不安です。

ベビーシッターにお子さんを預けてる方、監視カメラなどつけていますか?
気を付けていることなどありますか?

ベビーシッターおねがいした事ある人いますか?留守中、自宅にシッターと赤ちゃんふたりっきりですよね?まだ一ヵ月♂で、一時保育も無理なので一日だけおねがいしてみようと思うんですけどなんか不安どんなものか教えてくださいm(__)m

(それぞれ「Yahoo!知恵袋」より)

よって、ベビーシッター業者の「選び方」は前もって知っておくことが大切です。

ベビーシッターの選び方で大切なことは?

ベビーシッターの選び方ですが、協会に“加盟している”or“加盟していない”が1つのがポイント。

今回の事件、ベビーシッターの“マッチングサービス”を介して「対個人」のやり取りの中で選ばれた人間といわれてます。

且つ、サービス内容も通常のシッター業務とは異なり“子どもの自宅ではなく別の場所に連れて行って預かる”という形態をとっていたため「基本的なベビーシッターの在り方とは違う」状況でした。また、途中から本人(業者)との連絡も取れなくなるという事態になって警察が出動する状況になりました。

これが従来の「子どもの自宅で~」というサービスをしていれば、または担当するシッターさんとの連絡が取れないなどの事態が無ければ、このようなトラブルはならなかったでしょう。

やはり協会に加盟している業者を介することは一つの“安心感”でもありますので、業者選びの際の大切な選定ポイントと言えます。

とはいえ、協会未加盟だからNGという極端な話しではありません。

個人ではなく「会社」という組織を介しておくことで、小さなトラブルや悩みも解消しやすくなります。事実、協会未加盟でもベビーシッター業として大きな信用を得ている会社も数多くあります。

よって、ベビーシッター選びは協会に加盟・未加盟実績のある企業(利用者の口コミも多い、など)などを選定基準とされて下さい。

ほかにも知っておきたい業者選びとして

ほかにもベビーシッター選びで知っておきたいこととして、

  • 利用対象区域かどうか?
  • 施設の運営方針はどうなっている?
  • 登録されているベビーシッターの質や層は?(年齢・資格・子育て経験の有無)
  • サービス利用料金や利用時の最低時間は?
  • 予約方法・何日まで予約すればよいか?
  • 会員制の有無はあるか?
  • 月極利用の有無は?(待機児童になった際はこのサービスを利用するため)
  • キャンセル対応は?
  • 病児の対応はしてくれるか?
  • シッターの指名の可否は?
  • シッター中のケガ・病気、災害時の対応は明確か?
  • 福利厚生としての割引制度はあるか?

なども業者選びにはあらかじめ確認しておきたいところ。

加えて「厚生労働省」からもベビーシッター選びに関する10項目が発せられています。以下に抜粋しますが、

1.まずは情報収集を

保育料の安さや手軽に頼めるかという視点ではなく、信頼できるかどうかという視点で、ベビーシッター事業者の情報を収集しましょう。情報収集にあたっては、市町村の情報や公益社団法人全国保育サービス協会に加盟している会社のリスト (別ウィンドウで開く http://www.acsa.jp/htm/joining/list.htm#area08) などを活用しましょう。一時預かりが必要な場合やひとり親への様々な支援が必要な場合は、ベビーシッターの利用に限らず、市町村に相談しましょう。

2.事前に面接を

実際に子どもをベビーシッターに預ける前に、インターネットの情報だけを頼りにするのではなく、必ずベビーシッターと面会し、子どもを預かる方針や心構えなどについて質問して、信頼に足る人物かどうかを確認しましょう。また、子どもを預ける際には、必ず事前に面会したベビーシッター本人に直接子どもを預けるようにしましょう。

3.事業者名、氏名、住所、連絡先の確認を

実際に子どもをベビーシッターに預ける際には、事業者名、ベビーシッターの氏名、住所、連絡先を必ず確認しましょう。その際、ベビーシッターの身分証明書のコピーをもらうようにしましょう。

4.保育の場所の確認を

保育の場所が子どもの自宅以外である場合は、事前に見学して、子どもの保育に適切な場所かどうかを確認しましょう。

5.登録証の確認を

ベビーシッターが保育士や認定ベビーシッター(※)の資格を持っている場合は、保育士登録証や認定ベビーシッター資格登録証の提示を求めて確認しましょう。
※「認定ベビーシッター」とは、公益社団法人全国保育サービス協会が、ベビーシッターとして必要な専門知識及び技術を有すると認定した人です。詳しくは、全国保育サービス協会HPの資格認定制度のサイト(別ウィンドウで開く http://www.acsa.jp/htm/license)を参照してください。

6.保険の確認を

万が一の事故に備えて、保険に加入しているか確認しましょう。

7.預けている間もチェックを

子どもをベビーシッターに預けている間も、子どもの様子を電話やメールで確認するようにしましょう。

8.緊急時における対応を

預けている子どもの体調が急変するなどの緊急事態が生じた際に、ベビーシッターからすぐに連絡を受けることができるような体制を整えましょう。

9.子どもの様子の確認を

ベビーシッターから子どもの引き渡しを受ける際、どんなことをして遊んだのかといった保育の内容や預かっている間の子どもの様子について、ベビーシッターから報告を受けましょう。

10.不満や疑問は率直に

ベビーシッターに対する不満や疑問が生じた場合は、ベビーシッターを派遣した事業者等にすぐ相談しましょう。

引用:厚生労働省「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」

などもあります。

ベビーシッターの保証も確認。

なお、質の悪いシッターサービスの場合、「当日になってシッターさんが来ない」といったケースがあることも。

正規に依頼をしたのであれば、当日は確実に対応を保証してくれる業者(サービス)を選ぶようにしましょう。また、その際は契約書をあらかじめ確認しておくようにしてください。

【参考例】実績あるベビーシッター業者 一覧

Bears

業界最大手のベビーシッター/キッズシッター業者。
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・京都・奈良。
お問い合わせ→事前打ち合わせ→初回サービス訪問、と申し込みから実施まで相手との確認の上すすめます。

HAS(ハズ)

小学館グループのベビーシッター業者。
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・堺市・京都・兵庫・奈良

smartsitter(スマートシッター)

2時間無料体験や登録者の9割以上がシッターの有資格者
対応エリア:神奈川県・東京都・埼玉県・千葉県・茨城県

キッズライン

当日即日から定期的依頼まで業界最安値のベビーシッターサービス
対応エリア:東京・神奈川・埼玉・千葉・栃木・茨城・群馬・長野・愛知・京都・大阪・兵庫・福岡

(※1)なお、詳細は該当サイトよりご確認くださいませ。

(※2)それぞれ2018年4月17日までの情報です。

最寄りのベビーシッターさんを探そう

同じベビーシッターでも、やはりご自身のお住まい最寄りのシッターさんに預けたいと思う人が多い傾向があります。

そのため、ベビーシッター業者のホームページから対応エリアを確認して、ご自身の最寄りが対応しているか?を確認しましょう。

まとめ

以上、ベビーシッター事件からみる業界の裏側とシッター選びについてまとめさせていただきました。

今回の事件自体は大変嘆かわしい結果となってしまいましたが、昨今の社会的背景からベビーシッターの検討・利用する方が増えてきているのもまた事実。

こちらでお伝えした内容が“いざ!”という時のベビーシッター選びの際、参考にしていただければ幸いです。

ベビーシッタートラブルがなくなり、安心してベビーシッター選びができる世の中になりますように。

こちらも読まれてます。

関連記事:時短家事テクで育児を乗り切る!時間がない子育てママが楽になるコツ