妊娠中に必要な栄養素が豊富に含まれている果物「アボカド」。アボカドは栄養価が大変に優れた果物ですので、普段の生活だけでなく栄養が不足しがちな妊娠中の妊婦さんにも最適な果物。ただし、アボカドの食べ方にはいくつか注意する点もあります。
そこで今回は、アボカドが妊婦さんにおすすめの理由や注意点、上手にアボカドを摂取できる簡単レシピについてお伝えします。
目次
アボカドが妊娠中におすすめの理由
栄養価が世界一と言われているアボカドは以下の理由から妊娠中におすすめです。
葉酸の摂取
妊娠中に必要な葉酸の摂取量は1日あたり400μgとされていますが、アボカド1個に含まれる葉酸の量は約84μgと果物の中では一番多くの量が含まれています。ですから、1日に4分の1の葉酸の必要量を補えるアボカドを使った料理を献立に一つ加えることで、葉酸を効率よく摂取することができます。
βシステロールで血液をサラサラに
妊娠中に摂取した栄養素は血液を通じてお腹の赤ちゃんへ運ばれるため、血液がサラサラであると胎児の健やかな成長につながります。さらに、βシステロールはコレステロールの数値を下げる効果も期待できるため、動脈硬化の予防にも役立ちます。また、アボカドは森のバターと呼ばれるほど脂肪分が多いですが、バターとは違う健康に良い不飽和脂肪酸ですので、肥満の心配もなくダイエット食品としても食べることができます。
鉄分接種で貧血対策として
妊娠中はお腹の赤ちゃんのために多くの血液が使われるため、しっかりと鉄分を摂取して貧血対策をする必要があります。アボカドは鉄分が豊富に含まれていますので、貧血対策にもおすすめの果物です。ただし、あくまでも果物の中では鉄分が多いというお話なので、栄養バランスを考えて肉類や魚介類、野菜類からも栄養鉄分を摂取していただけたらと思います。
むくみ対策として
アボカドにはむくみ対策にも効果的なカリウムも豊富に含まれます。カリウムは塩分を体外への排出を促してくれますので、むくみ対策のほかに血圧を下げる効果にも期待できます。
便秘対策として
アボカドには、腸内環境を整えてくれる食物繊維も豊富に含まれていますので、妊婦さんにはうれしい便秘対策にも役立ちます。アボカド1個に対して食物繊維の含有量は7.42gと果物の中ではトップクラスを誇ります。
つわり対策として
アボカドには妊娠中の辛いつわり対策に効果的なビタミンB6が豊富に含まれています。病院でのつわりの診断の際には、ビタミンBの点滴が処方されるくらいですので、効果にはかなりの期待ができます。ビタミンA、C、E、K、B1、B2、B6など種類も豊富ですので、体調管理にもおすすめです。なお、ビタミンAが豊富ということもあり過剰摂取が心配と思われるかもしれませんが、100g中に含まれるビタミンAの量は13μg程度ですので、摂り過ぎてしまうことはありません。過剰摂取になるビタミンAの摂取量は1日1500μgとなっていますので、サプリメントを飲み過ぎない限り安心して摂取することができますよ
美肌作用の栄養分を摂取!妊娠線予防にも
妊娠中はお腹の赤ちゃんの成長のために多くのビタミンやミネラルが送られるため、ビタミン不足による肌荒れや妊娠線ができやすくなります。また、症状がひどくなると体全体にかゆみや痛みがあらわれる肌トラブルを起こすこともあります。
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アボカドには、以下の3つの美肌作用の栄養分を摂取できますので、妊娠線予防や肌荒れにも効果的です。
1.ビタミンB6
肌の新陳代謝の活性化や皮脂分泌の調整する作用によって肌荒れを予防してくれます。
2.ビタミンE
活性酸素を抑制する抗酸化作用によって肌のシミなどを予防してくれます。
3.コエンザイムQ10
血行促進や抗酸化作用によって肌荒れ、むくみ、冷え性の改善など様々な効果があります。
これらの3つの美肌成分がアボカドには豊富に含まれていますので、肌の乾燥が気になりはじめる妊婦さんも美肌へ導くことができます。
赤ちゃんの脳の発達を助ける
アボカドに含まれる豊富なビタミンB群には、赤ちゃんの脳の成長に関わるコリンと呼ばれる栄養素も含まれています。コリンは脳機能と循環器系、細胞膜の構成と補修などに必要な栄養素ですので、生まれてくる赤ちゃんの脳の発達を助けてくれます。また、胎児の時期にコリンを十分に摂取することで記憶力と注意力に良い影響を与えてくれると言われてますので、子どもの将来のためにもアボカドをしっかりと摂取していきましょう。
【参考】アボカドの栄養価(アボカド1個(可食部)140gあたり)
アボカド1個あたりの栄養価は以下のとおりになります。
- エネルギー(262kcal)
- たんぱく質 3.5g
- 脂質 26.18g
- 炭水化物 8.68g
- ビタミンA 8.4μg
- ビタミンE 4.62mg
- ビタミンB1 0.14mg
- ビタミンB2 0.29mg
- ビタミンB6 0.45mg
- ビタミンC 21mg
- 葉酸 117.6μg
- カリウム 1008mg
- カルシウム 12.6mg
- 鉄 0.98mg
- 食物繊維 7.42g
このように妊娠中に必要な葉酸だけではなく、ビタミン群も豊富に含まれていますので、栄養価がいかに優れているのかが分かりますね。
妊娠中にアボカドを摂取する際の注意点・デメリットは?
アボカドは様々な料理に組み合わせて摂取することができますが、妊娠中の摂取方法において一部の注意点もあります。
食べ過ぎ注意!1日の摂取量は?
アボカドは栄養価が高くて妊娠中に不足しやすい栄養素を補うことができますが、1日1個までに抑えて食べるようにしましょう。また、アボカドを食べ過ぎてしまうと栄養が偏るとともに、栄養バランスも崩れやすくなりますので、食べ過ぎには十分に注意してください。
妊娠糖尿病には注意を(カロリーに注意)
栄養価の高い食べ物は高カロリーのものが多いという特徴があります。アボカドもその代表格と言えます。アボカドは1個あたり約260kcal、100gだと187kcalと果物の中では一番の高カロリーとなっていますので、食べる量を気にしておかないと食べ過ぎによってカロリーオーバーにつながることがあります。
特に妊婦さんの場合、1日の摂取目安のカロリーは2500kcalと言われていますので、カロリーオーバーにならないように気をつけてアボカドを摂取するようにしましょう。妊娠中にカロリーを摂り過ぎてしまうと、妊娠糖尿病になるリスクを高めてしまうため、流産や胎児の発育不全を招いてしまう危険性があります。そのため、妊婦さんがアボカドを食べる際には1日半分を心掛けて、たまに1個という具合に食べる量を調整すると安心できます。
また、妊娠糖尿病などの理由で医師から食事制限が必要とされていたり、肥満気味の方はカロリーオーバーには十分に気をつけて食べるようにしてください。もし不安でしたらかかりつけの産婦人科の医師に相談してから摂取するようにしてください。アボカドの食べ過ぎでカロリーオーバーによる妊娠糖尿病の危険性リスクについてお伝えしましたが、食べ過ぎはアボカドだけに限らず全ての食材にも言えることです。アボカドの食べる量を調整してしっかり守って摂取していただければ、母体にもお腹の赤ちゃんにも良い影響を与えてくれる栄養価の高い果物ですので、食べるのをやめようとは思わず、ぜひ献立の1つにアボカド料理を加えてみてください。
妊娠中におすすめのアボカドのレシピ
【1】妊婦さんに捧ぐ アボカド納豆チーズ丼
アボカドの葉酸+納豆のたんぱく質+チーズのカルシウムで栄養満点簡単どんぶり?
アンチエイジングにも?
[材料 (1人分)]
アボカドの葉酸+納豆のたんぱく質+チーズのカルシウムで栄養満点簡単どんぶり?
ご飯:どんぶり1杯
アボカド:半分
納豆:1パック
スライスチーズ:1枚
醤油・わさび:適量
[作り方]
- アボカドを叩く。納豆は混ぜておく(たれ・からしはお好みで)。
- どんぶりにご飯をよそい、スライスチーズをちぎって乗せる。(面倒な場合そのままw)
- 1.の叩いたアボカドと納豆をその上に乗せて完成☆
- お醤油とわさびでよーくまぜまぜして召し上がれ。
出典:cookpad「妊婦さんに捧ぐ アボカド納豆チーズ丼」より
[一言]
妊娠4ヶ月の妊婦さんが、つわりが落ち着いていろいろと食べることが出来るようになってきた際に、栄養を考えて簡単に食べられるものとして考案された、とのことです。
【2】妊娠、授乳に!アボカドフレンチトースト
赤ちゃんの発育に大事な葉酸をアボカドでしっかり。クセになる甘塩っぱおいしいフレンチトースト(^^♪
[材料 (2人分)]
食パン:2枚
アボカド:1個
ベーコン:1枚
くるみ:適量
バター:10g
メイプルシロップ:適量
こしょう:適量
★卵:2個
★砂糖:大さじ2
★牛乳:3/4 カップ(150cc)
[作り方]
- アボカドは5㎜厚さの半月切りにする。ベーコンは半分に切る。
- ★をボウルに入れて混ぜ合わせる。パンを浸して30分置く。
- フライパンにバターを熱し、2のパンを入れて弱火で焼く。焼き色がついたら裏返し、ふたをして8~10分焼く。
- 器に移し、アボカド、さっと焼いたベーコン、刻んだくるみを盛る。メイプルシロップをかけ、こしょうをふる。
出典:cookpad「妊娠、授乳に!アボカドフレンチトースト」より
出典:月とみのり
[一言]
妊娠・授乳期にしっかりと栄養を摂取するために考案されたレシピ。特に葉酸は細胞分裂に関わるので、葉酸の摂取は赤ちゃんの発育に欠かせない栄養素。大切な栄養をしっかり摂取して、元気な赤ちゃんを産めるように頑張っていきましょう!
【3】妊娠、授乳に!アボカドと豆腐の冷製スープ
冷たくてのどごしなめらか。食欲のないときにおススメです?手軽にできて葉酸たっぷり。赤ちゃんとおかあさんにピッタリ(^^♪
[材料 (2人分)]
絹ごし豆腐:1丁
玉ねぎ:1/2個
アボカド:1個
プチトマト:2個
牛乳:1カップ(200cc)
顆粒チキンコンソメ:小さじ1と1/2
こしょう:適量
[作り方]
- 玉ねぎは薄切りにする。アボカドは種を取って一口大に切る。プチトマトは4等分に切る。
- 鍋に玉ねぎ、チキンコンソメ、水1カップ(200cc)を入れて火にかける。煮立ってから3分弱火で煮る。
- 2.、豆腐、アボカドをミキサーにかける。牛乳1カップ(200cc)を加え、冷蔵庫で冷やす。
- 器に注いでプチトマトを盛り、こしょうをふる。
出典:cookpad「妊娠、授乳に!アボカドと豆腐の冷製スープ」より
出典:月とみのり
[一言]
時間のない妊娠・授乳期でも手軽にできて栄養バランスの良いスープ。赤ちゃんの発育にかかせない葉酸をたっぷり摂取しましょう。
納豆やトマトなどと合わせても良し!他にもまだある!オススメレシピ例
アボカドを組み合わせた料理にはアボカド天ぷらやアボカドグラタン、ほかにもアボカドサラダなど、色々あります。特に納豆や豆腐を組み合わせた料理は、高タンパクで栄養価も優れていますので、妊婦さんにおすすめです。味付けがちょっと物足りないと感じる場合は、刻みのりやネギ、キムチなどを加えてみるのもおすすめです。
アボカドだけでは葉酸不足になるので注意を
冒頭でお伝えしたようにアボカドは葉酸を豊富に含まれる果物ですが、妊娠中は葉酸を含んだ食事をバランスよく摂取することが何よりも大切。そのため、いくら葉酸が摂取できるからと言ってもアボカドだけでは栄養も偏ってしまいますし、アボカドだけで妊婦さんの必要な1日の葉酸量が摂取できるのか?と言えばそうではありませんので注意が必要です。
葉酸は妊娠中に摂取すると胎児の細胞分裂を促してくれるため、お腹の赤ちゃんの健やかな成長を支えてくれる大切な栄養素。葉酸不足が長く続くと胎児の先天性異常や神経管欠損症のリスクを高めてしまうと言われています。
厚生労働省でも【妊娠中は食事以外で1日400μgの葉酸の摂取】が推奨されており、赤ちゃんが健やかに成長してくれるためにも妊娠中の葉酸摂取は欠かすことはできません。あとで後悔しないためにも、いまの内からお腹の赤ちゃんのために葉酸を摂取しておいてくださいね。
まとめ
妊娠中にアボカドを食べることでお腹の赤ちゃんの健やかな成長に役立つ葉酸に加えて健康維持、美肌効果などたくさんのメリットがあります。
食べ過ぎにだけは注意していただきつつ、継続的に摂取していただければ妊娠中のママと赤ちゃんにとても嬉しい栄養をたっぷり補給することができます。ママと赤ちゃんに嬉しい栄養をたっぷり補給することができれば、出産後も体調は万全になりますので、安心して育児をスムーズに進めることができますよ。