赤ちゃんが産まれて初めて口にする「母乳」。

母乳には赤ちゃんの成長に欠かせない重要な成分が豊富に含まれています。

そんな、母乳の特徴・成分・役割についてお伝えします。

授乳中のママの母乳に含まれる成分(主成分)

1.母乳に含まれる抗体である免疫グロブリン(IgA抗体)

免疫の中で最も大切な抗体。母乳には抗体として免疫グロブリンが含まれています。

細菌やウイルス感染予防に効果的だとされる「分泌型IgA」が豊富に含まれています。

消化器官で多く分泌され、ウイルスから腸管を守り消化器系や呼吸器系の粘膜を保護してくれます。他にも呼吸器系の粘膜を保護して赤ちゃんの体内に細菌・ウイルス・アレルゲンなどが侵入するのを防ぐ働きを持ち、初乳に多く含まれています。

2.脂肪

脂肪には脂溶性のビタミンや必須脂肪酸が多く含まれ、赤ちゃんの体の成長や中枢神経系の発育を促します。また、コレステロールは赤ちゃんの神経系に作用して細胞膜を作る働きがあります。

3.糖質

糖質は主に乳糖であり、カルシウムの吸収を促しビフィズス菌を増やす働きがあります。また、脳の中枢神経の発達にも糖質は欠かせません。

4.グルタミン酸

グルタミン酸によって赤ちゃんは初めて「うま味」と出会うことになります。

うま味は体に取り入れるべき栄養成分であるシグナルとしての役割を持つため、赤ちゃんのころからグルタミン酸を摂取してうま味と向き合る機会を作る必要があります。

5.乳清たんぱく質

筋肉の維持などで有名なアミノ酸。体づくりに欠かせない成分。

母乳に含まれる乳清たんぱく質はシスチン(髪の毛を作る主成分)やトリプトファン(神経伝達物質のセロトニンと哺乳類の睡眠・覚醒の制御に関わるホルモンであるメラトニンの前駆体として重要なアミノ酸)といった必須アミノ酸を豊富に含んでいます。赤ちゃんの体内はまだ未熟なので、これらの成分を体内で十分に生成することが難しく、母乳から赤ちゃんに送り届ける必要があります。

6.ヌクレオチド

赤ちゃんに睡眠をもたらす成分。

夜の8時から朝の8時頃にかけて最も多く分泌されるため、夜間の授乳は赤ちゃんをリラックスさせて眠気を誘う効果があります。

7.ビタミン

母乳中に含まれている主なビタミンは、A、D、E、K。

ビタミンAは免疫力の向上、ビタミンDはカルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にし、ビタミンEは抗酸化作用、ビタミンKは血液凝固因子を作り出血症状を防ぐ働きを担っています。

8.カルシウム

カルシウムはまだ柔らかい赤ちゃんの骨を強化し、血液中のカルシウム濃度を一定に保ちます。

9.ミネラル

母乳に含まれるミネラルはカルシウムに加えナトリウム・鉄分。

ナトリウムはカルシウムや他の栄養素が血液中に吸収されるのを手助けし、鉄分は粉ミルクよりも吸収されやすいという点で優れています。

10.葉酸

葉酸は母乳の元となる血液を生成する造血作用を持ち、産後ママの母乳を出やすくする働きを持つ成分。

赤ちゃんにとっての葉酸は脳や体の成長に必要で、母乳中の成分を体内で上手にコントロールしてたんぱく質合成に働きかけます。

11.たんぱく質

たんぱく質は骨格・筋肉・皮膚を構成する上で重要な役割を持ち、生命を維持する上でも欠かせない3大栄養素の一つ。

12.DHA

別名「ドコサヘキサエン」とも呼ばれ赤ちゃんの脳や視覚の発達を助けるDHA。

脳のシナプスという神経細胞の伝達部を作る材料にもなります。

13.オリゴ糖

赤ちゃんのお通じを良くしてくれるオリゴ糖。

オリゴ糖は赤ちゃんの体内にあるビフィズス菌を増やすので、腸の健康を保つのに役立ちます。

14.ラクトフェリン

多機能たんぱく質として機能が未発達な状態の赤ちゃんの体内を守る働きをするラクトフェリン。

赤ちゃんはもちろん、大人にも欠かせない成分です。

15.リゾチーム

ウイルス細菌の感染を防ぎ、善玉菌であるビフィズス菌の発育を促進するリゾチーム。

ビフィズス菌が多くなると悪玉菌である大腸菌の役割を低下させることができます。

16.白血球

白血球は初乳中に多く含まれており、様々な感染症を予防する重要な役割を果たしてくれます。

母乳や母乳栄養の特徴

母乳は生後3~6ヶ月までの乳児にとって最も優れた栄養で、吸収が最も優れていると考えられています。特に初乳にはウイルスや細菌の侵入を防ぐIgA抗体が含まれているため、赤ちゃんの感染予防に役立ちます。

また、栄養分はもちろんのこと、ママと赤ちゃんのスキンシップにもなるため授乳はお互いの愛情をはぐくむ大切なステップといえます。

初乳は母乳としての粘度が高く、質も高い

通常、母乳はドロドロして粘度が高いと母乳の質が悪い・まずいとして考えられています。

ですが、初乳の場合は別。初乳は赤ちゃんに送り届ける必要のある栄養の数が多い関係で母乳の粘度が高いとされています。

ストレスは母乳の出を悪くする

ストレスは母乳の出を悪くすることにも繋がります。ストレスを溜めず、食生活や睡眠時間を見直すことで母乳の質は改善していき量も増えていきますので焦り過ぎないよう注意してくださいね。

ワンポイント!プロテインで母乳生成を助ける

授乳中はタンパク質が欠かせない。プロテインの利用もおすすめ!」でもお伝えしましたが、実はプロテインは母乳生成に欠かせないタンパク質の塊。そのため、この時期の母乳の出に悩むママにおすすめです。

母乳の栄養や成分は赤ちゃんの成長時期に合わせて変化する

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母乳は常に一定の成分、一定の分泌をしているわけではありません。

母乳の分泌自体は妊娠16週ごろから始まり、出産するまでは分泌は抑圧されているためにごく小量に留まります。

産後は「初乳」「移行乳」「成乳」の3つの段階を通り赤ちゃんの状態に合わせて時間と共に変化します。

「初乳」期における母乳の成分や特徴

初乳期は母乳は粘度が高くドロっとしているのが特徴。

赤ちゃんに欠かせない成分が豊富に含まれるため濃度が高く消化にも優れています。

初乳は赤ちゃんの免疫を作ったり、赤ちゃんの消化器官の成長や感染症を防ぎながら最初の便を促します。

また、消化器官からビリルビンを排出することで新生児黄疸を防ぎ役割も持ちます。

「移行乳」期における母乳の成分や特徴

母乳の量が増え続け、見た目や成分も変化してきます。

免疫グロブリンやたんぱく質などの成分が減少し、代わりに脂肪分や糖分が増加します。

この時期のおっぱいは張りが出てきて重くなりますが授乳を繰り返していくことで徐々に緩和されます。

「成乳」期における母乳の成分や特徴

見た目はサラッと水っぽく、赤ちゃんの発育に必要な栄養素がすべて含まれています。

初期の母乳は脂肪分が少なく、糖分・プロテイン・ビタミン・ミネラル・水分が豊富ですが、授乳が進むにつれて脂肪分が増えて糖分が減少します。

まとめ

まだ未熟な赤ちゃんが無事成長していくにあり、母乳に含まれる成分が持つ役割は欠かすことができません。そのため、ママの母乳が出ている間は可能な限り赤ちゃんに母乳を飲ませ続けることが理想です。

ですが中には母乳を飲ませたくてもうまく出ないママ・母乳の分泌量が少ないママもたくさんいます。そのため、どうしても難しい場合は粉ミルクも上手に活用しながら授乳スタイルを確立していきましょう。

なお、母乳の出にお悩みであれば「母乳をよく出す“15”の方法【母乳育児の新米ママ必見!】」でも詳しくお伝えしていますので、ぜひ合わせてご参考ください。

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