妊娠初期より普段の食事から摂取した栄養素はお腹の中の赤ちゃんへ直接運ばれるため、その後の発育に大きく影響します。
もし、選んではいけない食べ物を毎日食べ続けてしまうと、意図しないところでお腹の中の赤ちゃんに悪影響を与える可能性出てきてしまうかもしれません。そのため、正しい知識を身につけて食べ物を選びたいとお考えの妊婦さんは多いのではないでしょうか?
そこで今回は、妊娠初期の妊婦さんに向けておすすめの食べ物12品目をご紹介します。
妊娠初期の食事で摂取すべき6つの栄養素
妊娠初期に摂取するとお腹の中の赤ちゃんの健やかな発育と、母体の健康維持に役立つ栄養素は以下の5つです。
1.葉酸
葉酸は赤ちゃんの成長や胎盤の生成するために必要な栄養素です。水溶性ビタミンB群の一種でもある葉酸は細胞や血液を作る大切な働きを持っています。また、先天性疾患の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減する作用もあります。そのため、妊娠初期の段階から意識して葉酸を摂取する必要があります。葉酸が不足しないように厚生労働省から葉酸サプリの服用が推奨されていますので上手に活用していきましょう。
<葉酸が多く含まれる食べ物>
- 牛、豚、鶏のレバー
- ほうれん草やブロッコリー
- 納豆や豆腐などの大豆食品
- いちご
- えのき
など。
▼ワンポイント!
葉酸は普段の食事からだと毎日必要量を摂取することが難しい傾向があり、そのため専用の葉酸サプリを摂取することを厚生労働省からも推奨されています。
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2.鉄分
鉄分はお腹の中の赤ちゃんへ栄養を運ぶために必要な血液を作る働きを持っています。そのため、妊婦さんは鉄分の推奨摂取量は普段の3倍の20mgが必要です。もし、鉄分が不足してしまうと貧血によるつらい症状が出るだけでなく、お腹の中の赤ちゃんが酸素不足になることもあるので注意してください。
<鉄分が多く含まれる食べ物>
- 牛、豚、鶏のレバー
- カツオやイワシ
- あさり
- 納豆などの大豆食品
- ほうれん草、小松菜、菜の花 など
3.カルシウム
カルシウムはお腹の中の赤ちゃんの骨や歯を作るために必要な栄養素です。そのため、カルシウムの1日の必要摂取量は普段よりも多く約700mg摂取してください。カルシウム不足が続くと骨粗しょう症や肩こり、腰痛などを引き起こすリスクが高くなるほか、赤ちゃんの骨や歯にも影響を及ぼします。
<カルシウムが多く含まれる食べ物>
- 干しエビ、しらす干し、ししゃも
- 煮干しなどの小魚類
- 乾燥ひじき
- かぶの葉、小松菜
- ごま など
- 牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品
カルシウムは様々な食材に含まれていますが、吸収率は以下のようにそれぞれ異なっています。
- 乳製品・・・約50%
- 小魚・・・約30%
- 緑黄色野菜・・・約20%
食品の偏りには気をつけてバランス良くカルシウムを摂取していきましょう。なお、妊婦さんの1日に必要なカルシウムの摂取量となる目安は700mgですので、以下の食材の含有量を参考にして摂取してみてください。
- 煮干し10g・・・約220mg
- 干しえび10g・・・約710mg
- 牛乳200g・・・約220mg
- ヨーグルト100g・・・約120mg
4.ビタミン
妊婦さんはビタミンを多く摂取する必要がありますが、中には摂り過ぎに注意しなくてはいけない栄養素もあります。
<多く摂取したいビタミン>
【ビタミンB6】・・・1日の摂取量の目安2.8μg
煮干しやかつお節などに含まれる。
葉酸やヘモグロビンを作ってくれます。
【ビタミンB12】・・・1日の摂取量の目安1.4mg
鶏肉やバナナなどに含まれる。
皮膚や粘膜の免疫力の向上、つわりの緩和などの作用があります。
【ビタミンC】・・・1日の摂取量の目安110mg
レモン、みかん、ブロッコリーなどに多く含まれます
鉄分の吸収率や免疫力の向上。
<摂り過ぎ注意のビタミン>
【ビタミンA】・・・1日の摂取量の目安650μg、上限量2700μg
牛レバー、ウナギ、緑黄色野菜に多く含まれます。
皮膚や粘膜、目の免疫力向上の効果があります。
体内に蓄積されやすいため、過剰摂取すると奇形の可能性が高くなります。
【ビタミンD】・・・1日の摂取量の目安12.5μg、上限量100μg
鮭、しいたけなどの多く含まれています。
カルシウムの吸収率を高める効果があります。
過剰摂取すると下痢や食欲不振などに繋がりやすくなります。
【ビタミンK】・・・1日の摂取量の目安150μg
納豆、モロヘイヤなどに多く含まれています。
骨粗しょう症の改善や血液凝固作用の改善効果があります。
蓄積されないため上限量はありませんが、大量に摂り過ぎると赤ちゃんに黄痰が現れるリスクがあります。
摂り過ぎ注意のビタミンについては普段の食事のバランスを心がければ過剰摂取に繋がることはありません。また、ビタミンサプリを活用する場合も目安量を守れば過剰摂取になることは考えにくいので、用途はしっかり守って服用するようにしましょう。
5.たんぱく質
たんぱく質は赤ちゃんの血液や血管、臓器、筋肉、髪、皮膚など、身体のほとんどを生成するために必要な栄養素です。肉類や魚類、大豆食品など主な食材にたんぱく質は含まれていますが、偏りなくバランスを考えて摂取するようにしていってください。
6.食物繊維
食物繊維を摂っておくと妊娠初期の便秘体質の改善に役立ちます。水溶性と不溶性の2つの食物繊維をバランス良く摂取して、油脂類の食品も摂ることでより効果的に作用します。
妊娠初期の食べ物でおすすめの12品目
1.緑黄色野菜
緑黄色野菜には妊婦さんが必須の葉酸やビタミン、カルシウム、鉄分、食物繊維など栄養バランスを保つために必要な栄養素が豊富に含まれています。
妊娠中に不足しやすい葉酸は青菜類のほうれん草やモロヘイヤなどに多く含まれています。中でもおすすめはほうれん草で鉄分も同時に摂取することができます。
2.イチジク
イチジクには妊娠中に乱れやすい女性ホルモンのバランスを整えてくれる「植物性エストロゲン」を摂取することができます。その他に葉酸、カルシウム、鉄分、ビタミンB6、食物繊維などの栄養素も豊富に含まれています。
3.赤カブとその葉
赤カブとその葉には妊婦さんに欠かせない栄養素の葉酸が豊富に含まれています。食べ方のおすすめはつわりを和らげてくれる酸味の効いた赤カブの甘酢漬けです。また、温かいスープに赤カブとその葉を一緒に入れて飲むのもおすすめです。
4.未精製の雑穀類
未精製の雑穀類はビタミンやミネラルが豊富に含まれているため、便秘解消効果に期待できます。玄米や胚芽米などの未精製の雑穀類を食べるとお腹がスッキリして体調も良くなるのでおすすめです。注意点として玄米は消化しにくいため、胃腸が弱い人は食べ過ぎないように気をつけましょう。胃腸への負担を軽くするためによく咀嚼して食べるようにしてください。
5.海藻類
ひじきやわかめ、もずく、青のりなどの海藻類は鉄分やカルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。味噌汁や煮物、サラダなど色々な料理に使えるのもいいですね。また、低カロリーであっさりしているので妊婦さんも食べやすいのもおすすめのポイントです。
6.きのこ類
エリンギやえのき、まいたけなどのきのこ類には鉄分、亜鉛、食物繊維、ビタミンなどを摂取するのに適しています。鍋やスープにきのこをたっぷり加えれば腹持ちの良い肥満対策に役立つ料理の完成です。
7.赤みの肉
牛肉や豚肉の赤みの肉は大切な栄養源となるたんぱく質や鉄分の宝庫です。身体のほとんどを構成するたんぱく質と栄養や酸素を運んでくれる鉄分を十分に摂取することによって、お腹の中の赤ちゃんを健やかに成長させてくれます。また、赤みの肉から摂取できるヘム鉄は野菜から摂れる非ヘム鉄よりも体内への吸収率が優れているため、貧血のつらい症状に悩む妊婦さんには特におすすめです。
8.卵
卵にはたんぱく質を手軽に摂取できて料理のアレンジがしやすいおすすめの食べ物です。以前は1日2個以上食べたらいけない、過剰に食べたら卵アレルギーになる、など言われていました。ですが、実際には科学的根拠はなく、アレルギー発生率についても明確には分かっていないのが現状です。
1日1個ならお腹の中の赤ちゃんに影響を与えると言われているビタミンAの過剰摂取にはならないので安心できますし、アレルギーについては家族がアレルギー体質だと遺伝によってお子さんの発生率が高くなると言われてます。調理のポイントは新鮮なものを焼いたり茹でたりと加熱して、食中毒のリスクを極力無くす調理方法がおすすめです。
9.大豆食品
大豆食品はたんぱく質や食物繊維を摂取することができます。豆腐や納豆、枝豆など比較的手軽に手に入る食材なので、毎日の料理に取り込みやすいですね。また、枝豆には葉酸が100gで260μgと多く含まれているので特におすすめです。
10.クルミ
クルミには妊婦さんが不足しやすいエネルギーレベルを引き上げてくれる、必須脂肪酸で不飽和脂肪酸の一種「オメガ3脂肪酸」が豊富に含まれています。さらに、便秘や美肌効果にも期待ができるので大変優れています。摂取量の目安は1日約25gです。
11.バナナ
バナナは葉酸と食物繊維、ビタミンB6を摂取することができます。葉酸は100gで26μgを摂取することができます。また、ビタミンB6は辛いつわりの症状を和らげてくれる効果に期待できます。
12.ヨーグルト
ヨーグルトにはカルシウムが豊富なので体の機能を維持するのに役立ちますし、赤ちゃんの骨や歯を形成してくれます。さらに、腸内環境を整えてくれるので体調管理にも役立ちます。
妊娠中の“食べ方”で注意したい11のコト
妊娠中はお腹の中の赤ちゃんの分まで栄養を摂らないといけないので、食べ物をたくさん食べないといけません。ですが、むやみに食べ過ぎてしまうとかえって赤ちゃんに悪い影響を与えることがあります。
母体の健康と赤ちゃんの健やかな成長のために、妊娠中の食べ方について11個の注意点をご紹介します。
1.1日3食しっかり摂取
1日3食をしっかり摂取することによって自律神経失調症、冷え性、不眠症、生活習慣病にかかるリスクを減らすことができます。特に妊娠中はスーパーで売っている惣菜やインスタント食品、栄養の偏りやすい外食などは控えたほうがいいです。出来る限り栄養バランスを考えた手作り料理で1日3食をしっかり摂取することを心掛けることが大切です。
2.塩分は控えめに
塩分を過剰に摂取すると高血圧や妊娠高血圧症候群などを発症するリスクが高くなります。塩分は食塩や醤油などの調味料のほかに、肉や魚などの加工食品や漬物や佃煮などの一般的な食品にも多く使われているので気をつけましょう。食塩などの調味料の代用としてコショウなどの香辛料や酢、柑橘類、香味野菜、海苔、ゴマなどの薬味を活用すると塩分を控えめの料理を作ることができます。
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3.菌や寄生虫には注意
妊娠中は免疫力が低下しているため、菌や寄生虫によって感染しやすい状態です。赤ちゃんの危険を招きやすい食中毒の下痢には十分に注意しなくてはいけません。食中毒の原因になるやすいリステリア菌は主に食品によって感染します。調理器具などからも感染することが考えられるので熱湯などでしっかり消毒してください。
<リステリア菌による感染リスクのある食品>
- 生ハムなどの生肉
- 肉や魚のパテ
- スモークサーモンなどの魚介類の加工品
- 未殺菌乳(搾りたてで加熱処理がされていない)
- ナチュラルチーズ(加熱殺菌なし)
4.鉄分不足に注意
鉄分は赤ちゃんがママの胎盤を通じてスクスク育ってもらうためにも鉄分は必要です。また、妊娠中は血液の量が2倍に増えるため、毎日意識して鉄分を摂取しなければ不足してしまいます。
肉や魚、大豆食品などのたんぱく質を多く含む食品と緑黄色野菜や果物に含まれるビタミンをバランス良く摂取することで鉄分の吸収率を高めることができます。鉄鍋や鉄瓶などの調理器具を活用すると、食品以外からも鉄分を摂取できるのでおすすめです。
<鉄分を多く含む食品>
- 牛、豚、鶏などのレバー
- 魚介類
- 大豆食品
- 緑黄色野菜
5.カルシウム不足に注意
日本は国土の多くが火山灰地でお水や野菜に含まれるカルシウムの含有量が少ないという土壌の性質があるため、多くの日本人が不足している状況です。
妊娠するとお腹の中の赤ちゃんの骨や歯の形成にもカルシウムが必要になるため、より意識してカルシウムを摂取する必要があります。インスタント食品やスナック菓子、ハム、ソーセージなどの加工食品にはカルシウムの吸収を阻害させるリンが多く含まれているので出来る限り食べないようにしましょう。
6.ジュース・お菓子・油分の摂取は控えめに
ジューズやお菓子、油分を過剰に摂取してしまうと肥満になりやすいほかに、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高くなります。
7.お酒とタバコは禁止
お酒とタバコが日課の方は要注意です。妊娠中のお酒とタバコはお腹の中の赤ちゃんの体や脳神経への障害、成長の遅れなどのリスクが高くなると言われています。ですので、妊娠をきっかけにお酒とタバコを禁止しましょう。
8.栄養バランスのとれた食事を意識
栄養バランスのとれた食事を意識するには以下のポイントを心掛けてください。
<栄養バランスのとれた食事のポイント>
1.主食
ごはん、パン、麺類
2.主菜
肉、魚、卵、大豆、豆腐、納豆などの大豆食品
3.副菜
野菜、いも、海藻類、きのこ類
これら3つを毎食揃えることで栄養バランスのとれた食事を自然に準備することができます。
9.つわりの時期は無理をしない
妊娠初期のつわりによる食欲不振で普段の食事が食べられない時は、無理をせず今食べられるものだけを食べるようにしましょう。
栄養不足やバランスが気になる場合は、栄養のあるものを間食をしたり、サプリメントを活用するのも良い方法です。どうしても食べられなくて心配なときは、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。
<つわりを和らげるポイント>
・水分をこまめに飲む
つわりで食べられなくても水分はこまめに飲むようにしましょう。
・身体を冷やさない
身体を冷やすとホルモンバランスの乱れてつわりが酷くことがあるので、いつも暖かくして過ごしましょう。
・身体を休ませてリラックスする
疲れたらすぐに横になって休んだり、眠りたいタイミングでしっかり眠るようにしてリラックスして過ごしましょう。
10.生ものに注意
生肉や魚の刺身、生卵などの生ものは食べると、サルモネラ菌やカンピロバクター菌によって食中毒を発症するリスクが高くなります。
また、感染率は低いですがトキソプラズマに感染すると生まれてきた赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症を引き起こして、脳症や水頭症などの障害が出るリスクがあるため注意が必要です。
11.ビタミンAの過剰摂取に注意
ビタミンAは抗酸化作用による免疫力の向上や皮膚、粘膜の健康を保つ効果があります。ですが、ビタミンAを過剰に摂取するとお腹の中の赤ちゃんの奇形発症のリスクが高くなるため注意が必要です。
ビタミンAが多く含まれるお肉のレバーなどは普通に食べる分には問題ありませんが、毎日大量に食べ続けると過剰摂取に繋がってしまいます。バランスの良い食事を心がけていればビタミンAに偏ることはないので、お肉や魚、大豆食品、野菜、果物などもしっかり食事に取り入れていきましょう。
あわせて知りたい!つわりがひどいときの食事方法は?
つわりによる食欲不振が続く場合の基本は「食べられるものを食べる」ことが大切です。
妊娠中に必要なたんぱく質、鉄分、カルシウム、食物繊維などを意識して食べられるときにしっかり補給するように心掛けましょう。栄養不足が心配になるかもしれませんが、妊娠初期の段階では赤ちゃんはまだ小さいのでママに蓄えられた栄養でちゃんと育ってくれます。また、嘔吐による脱水症状を予防をするために水分はこまめに補給するようにしましょう。
まとめ
今回は妊娠初期の妊婦さんに向けておすすめの食べ物12品目をご紹介しました。
妊娠中は好きな食べ物を好きなだけ食べられなくてストレスが溜まりがちです。ストレスはお腹の中の赤ちゃんにとって一番良くありませんし、あなたの体調を悪くさせてしまいます。ですから、たまには外食に行ったり出前を頼んだりして羽根を伸ばしてみるのも良いと思いますよ。
あなたに合う快適な食生活を見つけていただいて、お腹の中の赤ちゃんの健やかな成長を支えてあげてくださいね。