母乳育児は厚生労働省、WHO、お医者様、など母乳のメリットを考え推奨される育児方法。赤ちゃんを出産すると9割以上のママが『母乳育児にする!』というデータもあるほど。
ですが、メリットばかりが注目されやすい母乳育児にも大変な側面もあります。そこで母乳育児を考えるママに向けて
- 母乳育児のメリット・デメリット
目次
母乳育児の利点・メリットが厚生労働省で推奨される
厚生労働省やWHOからの後押しもある母乳育児。
母乳は赤ちゃんの栄養補給として最適・最高の栄養バランスを持つだけでなく、赤ちゃんとママのコミュニケーションづくり・ママの産後ダイエットなど、多くの面で利点があるため広く推奨されています。
母乳育児のメリット
赤ちゃんにとって母乳はメリットだらけ
豊富な栄養
母乳には赤ちゃんにとって最適な栄養が豊富に含まれています。主に「たんぱく質」「カルシウム」「ビタミン」「ミネラル」「乳糖」「脂肪」などです。
これらの栄養分が赤ちゃんの消化器官や肝臓・腎臓などに負担をかけない構成(飲みやすく消化が良い)になっているため、無理なく豊富な栄養を吸収することができます。
また、母乳を飲むことは赤ちゃんのお腹に善玉菌を増やすため、お腹の調子も整えられる・乳糖の影響で脳の発達を助けてる、といった利点もあります。
免疫の生成
母乳は子どもの免疫力を高める働きがあります。免疫力を高めると病気・感染症への抵抗力がつくため風邪に負けない元気な赤ちゃんを育てることができます。
中でも重要な産後すぐにママのおっぱいから分泌される初乳。初乳は分泌型免疫グロブリン(SIgA)と呼ばれる免疫体が豊富で、初乳を飲んだ赤ちゃんの腸粘膜に広がることで細菌・ウィルス・アレルギーの原因となる異種たんぱくなどの侵入を防ぐ働きをしてくれます。
あごの発達
母乳を飲むには赤ちゃんが自分のあごや舌を活発に動かす必要があります。
そのため、あごの発達はもちろん、脳の刺激を促す動きにも繋がることで赤ちゃんの発育にとって良い影響が加わります。
なお、あごの発達は食べ物を咀嚼する力や正しい歯並びにする基礎作りにも影響を与えます。
肥満や生活習慣病の防止
厳密なメカニズムはまだ未解明とされますが、母乳は赤ちゃんの肥満を抑える働きを持ちます。特に、赤ちゃんの将来的な肥満体質予防には影響があるとされています。
日本でも岡山大学が2013年秋に、母乳と肥満の関係について研究結果を発表している。こちらは、厚生労働省が2001年から実施している「21世紀出生児縦断調査」に収集されたデータを用いて分析したものだ。
それによると、生後6~7カ月まで完全母乳で育った子どもは、粉ミルクだけで育った子どもよりも7歳の時点で太り過ぎになるリスクは15%、肥満になるリスクは45%も減少することがわかった。8歳の時点でも同様の結果となり、母乳育児が子どもの肥満予防に効果があるということが明らかになったという。
出典:肥満リスクは母親にあり! 生後4カ月の母乳育児で太らない子どもになる!?|健康・医療情報でQOLを高める~ヘルスプレス/HEALTH PRESS
他にも厚生労働省が行っている「21世紀新生児縦断調査」のデータをもとに、国立成育医療研究センターの藤原武男社会医学研究部部長らが行った、日本人を対象にした母乳と肥満についての調査報告(Latent protective effects of breastfeeding on late childhood overweight and obesity: A nationwide prospective study)によると
参考:母乳飼哺育の程度によるBMI値の推移(A:男児 B:女児) Jwa SC et al. obsety. 2014
人工乳のみで育てられた子供と完全母乳・混合母乳で育てられた子供を比較した際、5歳を過ぎたあたりからBMI値が明らかに差があらわれはじめる(BMI値が高い=肥満傾向)のが確認されています。(図の緑色箇所)
肥満時は将来的に生活習慣病にかかりやすい傾向があるので、母乳育児は将来の肥満予防・生活習慣予防につながる可能性を示唆しています。
- ママの食事内容に注意
なお、母乳はママの摂取した食事に影響されます。
そのため、ママが高カロリーの食事を大量に摂取し続けるとママの体内で生成される母乳はもちろん、母乳を飲む赤ちゃんにも影響するので「母乳=肥満防止」とはならないことも。
母乳内容はもちろん、ママ自身の健康のためにも高カロリーの食事を大量に摂取し続けることなく、バランスの良い食生活を心がけてください。
乳幼児突然死症候群(SIDS)予防
原因はいまだ不明とされる乳幼児突然死症候群(SIDS)。
ですが、母乳で育た赤ちゃんの方がミルクで育った赤ちゃんよりも発症率が低いと言われています。
小児白血病のリスクを抑える
小児白血病は15歳以下の小児が発症する白血病。
詳しい原因はまだ解明されていない病気ですが、小児白血病も授乳を6か月以上つづけて育てた赤ちゃんとそうでない赤ちゃんを比べると小児白血病のリスクが低くなる研究結果が出ています。これは有力医学誌の小児科版のジャマ(JAMA)ペディアトリクスにイスラエルのハリファ大学からの分析結果として2015年に報告されました。
参考出典:JAMA Pediatrics – The Science of Child and Adolescent Health(JAMA小児科学)、Breastfeeding and Childhood Leukemia Incidence: A Meta-analysis and Systematic Review | Breastfeeding | JAMA Pediatrics | JAMA Network
知能指数(IQ)と年収への影響
母乳は脳の発達に欠かせない栄養素であるDHAが含まれているので、母乳の摂取が知能に影響を及ぼすと考えられています。
そのため、「長く母乳で育てられた赤ちゃんは、そうでない赤ちゃんに比べ知能(IQ)が高く、教育を受けた期間も長かった」という調査結果もあります。
参考出典:母乳で育つとIQも収入も高くなる、ブラジルの大学が研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ただし、年収は「国柄」「親の収入」「普段の生活環境」などの影響もあるので日本で同様に考えていいものか?は難しく、あくまで母乳育児における参考例の1つとお考え下さい。
ママが授乳するメリット
産後の回復(子宮回復)
母乳を赤ちゃんに与える際「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。
「授乳中にこそ葉酸が必要な6つの理由と摂取すべき栄養素や摂取量まとめ(「6.産後の子宮回復にも葉酸は活躍してくれる」の個所)」でもオキシトシンは母乳分泌ホルモンとしての役割以外に子宮収縮を促す働きもあるため、出産で妊婦さんとしての子宮状態から普段の子宮状態に戻していく際に働きかけてくれます。
産後ダイエット
妊娠中にママの体に蓄えられた脂肪は授乳を通じて母乳の乳脂肪へと変化します。そのため、赤ちゃんに母乳を与えれば与えるほどにママの脂肪は減少していきますので、母乳育児が産後ダイエットにおける一番の自然なダイエット法と言えます。
なお、完全母乳(完母)での授乳であれば毎日500~700kcalを消費するといわれており、ジムで自転車運動や水泳をする・ロッククライミングやサッカーをする、などハードな運動に近いカロリー消費量です。
将来の高血圧リスクを下げる
母乳を与えたママは、将来において高血圧になるリスクが低下する。
これは西シドニー大学の研究チームが発表した有名な統計データです。(原文参照元:Mailonline「Breastfeeding can reduce a woman’s chance of developing high blood pressure even DECADES later」より)
母乳が高血圧のリスクを下げる厳密なメカニズムはまだ解明されてませんが、母乳を与える際に分泌されるホルモンがママの心臓血管系に良い影響を与えているのではないか?というのが現在有力な説とされています。
乳がん、卵巣がん、子宮がんリスクの軽減
雑誌『Journal of Clinical Nursing』の発表によると、6カ月以上授乳を続けるとママの乳がんリスクが軽減されると記されています。(原文元:Breastfeeding Longer Seems to Help Protect Against Breast Cancer – Breastcancer.org)
他にも卵巣がんや子宮がんの発症率を下げるともいわれています。
金銭面によるメリット
ミルクを購入しなくて良いためお財布にやさしいです。子育てに出費はつきものですが、抑えられる出費はできる限り抑えておきたいものです。
出費計算例
赤ちゃんの個人差によりますが、仮に粉ミルク1缶2000円として月に2缶ほど使用したら4000円。加えて、哺乳瓶や水にこだわる人はペットボトルや浄水器などの費用も計算する必要があります。トータルで考えると「月に4000円以上」の出費、年間で「50,000円~」の計算になります。
なお、出費が無い分ごみも出ません。加えて、母乳の温度はそれ自体が赤ちゃんにとって最も最適な適温ですので、ミルクによる調乳の手間が無いことも産後育児における負担減のメリットです。
母子のふれあい
ミルクと比べ母乳は消化が早く、その分、1日の授乳回数が増えるので必然的にママと赤ちゃんとのふれあいの回数が増えることになります。
母乳を長く続けるメリットは?
母乳育児の長期的な効果(感染予防、免疫制御、認知能力の向上)は、母乳育児期間に応じて高まる。
自然な卒乳は2歳半~7歳である。
このように母乳育児の長さと子供の健康には一定の相関性があると考えられます。
また、健康面以上にママの母乳はそれ自体に赤ちゃんにとって気持ちが安らげる場所であり、精神面でも安らぎを与えることができます。
母乳育児・完全母乳によるデメリット
乳首が傷つく
母乳育児の最初のトラブル・代表的なトラブルの1つ、乳首の痛み。
授乳はじめの数週間~数ヶ月はママの乳首に痛みが生じやすい時期。およその目安として授乳開始から約2週間ほどで乳首が硬くなるといわれ、その間は軽い痛み~血が出る(裂傷)などの症状が出ます。
[乳首の痛みトラブルへの対応]
- 乳頭マッサージ
- 左右の乳房を均等に吸わせる
- 赤ちゃんの抱き方を変える
- 授乳を終わらせるときに赤ちゃんの口元にママの指を添えてからゆっくりと抜く
- 乳首を深く含ませる
- 授乳後に乳首ケア用のクリームを塗る
など。
完全母乳は外出すると授乳がしにくい
外出時は周りの目が気になって気軽に授乳できないことがあります。最寄りで授乳スペースがある場所をあらかじめ確認しておく、もしくは授乳スペースが無い場合「授乳ケープ」が外出先の授乳対策でおすすめです。
なお、授乳ケープを初めてだと嫌がる赤ちゃんも多いので予め自宅で練習して慣らしておきましょう。
ビタミンK・ビタミンD不足の恐れ
- ビタミンD
母乳はビタミンDの含有量が少ないため、母乳育児だけで必要なビタミンDを摂取するのは困難です。
母乳が供給するビタミンDは25 IU/L未満から78 IU/Lであるため[22]、通常、ビタミンD所要量を母乳のみで満たすのは不可能である
引用:ビタミンD | 海外の情報 | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業
普段からビタミンDの豊富な食品(魚や卵黄、一部のキノコなど)を摂取してください。また、太陽の紫外線を浴びる(適度に母子ともに散歩する。)ことでもビタミンDは生成されますよ。
- ビタミンK
母乳はビタミンKも不足しやすいため、ビタミンKの含有量が多い「納豆」「緑黄色野菜」など、普段から摂取することで母乳を通じて赤ちゃんにもビタミンKを届けることができます。
変わりがいないストレス
母乳による授乳はママ以外にはできないのでママにかかる負担が増えます。
肉体的にはもちろん、精神的なストレスもかかりやすいため、自分で抱え込み過ぎないように周りにも相談・協力してもらいましょう。
疲労・睡眠不足などママへの負担
産後はママの産後回復状態も万全ではない・食事制限・薬の制限・一日中の授乳など、疲れやすい状態です。また、夜中の授乳による睡眠不足も疲労に影響します。
母乳不足の可能性
母乳不足に悩むママは多く、また母乳不足により母乳が足り無いと赤ちゃんの成長にも影響がでるため母乳不足対策が欠かせません。
- 母乳不足を見極める
赤ちゃんの体重やおしっこの状態などから母乳不足の有無を見極めましょう。詳しくは「母乳が足りない!赤ちゃんからの母乳不足のサインを見逃さない4つのポイントと対策まとめ」もご参考ください。
- 母乳不足を見極める
母乳不足対策は体質改善が欠かせません。
水分補給を筆頭に授乳期に必要な必要な栄養(葉酸・鉄・たんぱく質・カルシウム、など。)を補給しましょう。
詳しくは「母乳をよく出す“15”の方法【母乳育児の新米ママ必見!】」「母乳育児におすすめのハーブティー13選。授乳中のママの悩み対策を」など、併せてご参考下さい。
飲酒不可
授乳中はアルコールはNG。授乳中のアルコール摂取は赤ちゃんの低体重・発達障害・精神発達障害・知的障害・小頭症などに影響する恐れがあります。
普段からお酒が好き・長らくお酒を飲むことが習慣になっている、という方からすると授乳期間中の飲酒制限が一番のハードルかもしれません。
授乳中のスマホNG
授乳中ってテレビやスマホ見るわけにもいかないし(うちの子はお乳でむせやすいから)その時間に頭の中にやらなきゃいけないことがボンボン浮かんできてはわわわになる
— セヴィー (@seviy29) 2018年4月23日
こっそりスマホしながら授乳しようと思っても分かっちゃうのか、すぐ怒るからTL見るので必死…笑
ほんとに娘中心の生活なんだなぁと☺
でも、だいぶ余裕出てきたのか毎日娘見て何かしらに爆笑してる— ばたこ。38w6d→0m🤰✂︎ (@batako_0408) 2018年4月19日
授乳しながら寝落ちしそうになるのほんっとーーに危険だからながらスマホできてよかった
— ありありある (@ari_a_real) 2015年12月5日
近年増加傾向にある育児中のスマホトラブル。授乳中にながら作業でスマホをチェックすると、万が一手元から落として赤ちゃんに当たってしまう心配があります。
また、母子の愛着関係においても赤ちゃんはおっぱいを飲む時にママの顔・目・表情を見ます。(視力が発達していない段階でもママの顔や表情はとらえています。)
授乳中にママと赤ちゃんがお互いを見合うことは最初の大事なコミュニケーション。
このコミュニケーションがおろそかになってしまうと、後々親子の関係性、延いては周りの人間との関係づくりに影響が出てくる可能性もあります。
その後、どれくらい接するとお母さんを好むようになるかを調べた実験では、母親の顔を見た時間が11時間から12時間を超えると、お母さん顔を好むようになることがわかった。
- 便利なことは間違いない
ただし、授乳中のスマホ活用が便利であることも間違いありません。
忙しいママからすれば「授乳時間中くらいしかスマホを見ることができない。」という意見もあるほどで、スマホ活用がストレス発散や問題解決に繋がることも往々にしてあります。
スマホ=授乳期の悪、という極端な考えを持つ必要はありません。赤ちゃんを第一に考えた上で、上手に活用するのが良いでしょう。
黄疸が長引く可能性も
母乳のみ(完母)で育てた赤ちゃんは黄疸(肌が黄色っぽくなる症状)が長引きやすい傾向があります。
自然と黄疸は消えていくのであまり気にする必要はありませんが、どうしても気になる場合は医者さんに相談してください。
完母でもミルクでも混合でもOK
母乳育児は完全母乳(完母)でも母乳+ミルク(混合)でもどちらでも構いません。
完母が理想的とは言われますが、ママの体質上どうしても母乳が出にくいこともあります。
育児ノイローゼ対策として混合はメリットがある
育児ノイローゼになりそうです(6か月男の子)
育児ノイローゼになりそうです。
母乳があまり出なくなってきたのにミルク嫌がって暴れて飲みません。
泣きやみ動画とかも効かないです。何が気に入らないのか意味不明で1日中泣き続けます。
抱っこして歩かないとだめ。
離乳食も食べない。
母乳育児が順調でないと育児ノイローゼになることも。
母乳が出ないと「ママの頑張りが足りない」といった周りの声はもちろん、赤ちゃんのちょっとした動き一つにも必要以上に敏感に反応してしまい、無表情・過食・食欲の減退・不眠、など身体的にも精神的も深刻な問題になります。
ですが、ママがネガティブになると赤ちゃんはもちろん、周りの人にも影響します。
- 混合で負担を減らす
育児ノイローゼで押しつぶされそうなときは完母に固執することなく混合も検討に入れてましょう。
完母ではなく混合にすることで母乳育児の負担を減らすことができます。
ママが元気でいることが一番大切なこと。どうしても母乳が大変と感じた際は無理せずミルクも活用していきましょう。
なお、育児ノイローゼはママだけでなくママを支える周りとの問題となりますので、ママに何かあれば無理させることなく積極的にママをサポートしてください。
粉ミルクのデメリットは?
ビーンスタークスノー社への取材からもわかりましたが、粉ミルクも年々進化しているため母乳に近い成分が配合されるようになってきました。そのため、主なデメリットとしては「調乳の手間がかかる」「お金(粉ミルク代)がかかる」「外出時の荷物が増える」など。
敢えて健康面で挙げるなら、赤ちゃんがおっぱいを吸うことがなくなるためにママの子宮回復が遅れる・母乳と比べてしまうとまだミルクの方だと免疫がつきにくい・おっぱいを吸うことがなくなるため赤ちゃんの顎の力がつきにくい、など。
- ミルクよりもミルクを作るお水選びの方が大切
ですが、お伝えしたように年々母乳に近い成分が作られるようになっているので過剰に心配する必要はありません。どうしても母乳が出ない・母乳で育てるのが難しい環境、であればミルクも活用していきましょう。
なお、赤ちゃんはまだまだデリケートな状態なので、ミルクを飲ませる際はベースとなるお水選びにはご注意ください。
母乳育児と新生児の体重増加について
体重増加の平均値
母乳育児か?ミルクか?で異なります。
ミルクの場合、赤ちゃんが退院してからの体重計算として、1日に約30kgずつ増加していれば問題はありません。
母乳育児の場合、ママの母乳量の問題や赤ちゃんが母乳を上手く飲めていないなどの関係で30g増えていない場合もあります。
体重増加が悪い時は?
しばらく様子をみてください。一週間ごとに体重を測り全く体重が増えない、という状態なら小児科で相談してください。
赤ちゃんの機嫌が良く、身長が順調に増えているようなら大きな心配はありません。
今後ママの母乳量が増えることもあるので、そのタイミングで一般的な値に合うようになるでしょう。
赤ちゃんが母乳で肥満になる?
娘はもともと大きな方で、四ヶ月で8㌔、現在は8.5㌔ちょっとと増加は緩やかですが、また最近ぽっちゃりしてきた気がします。母乳の質で娘が肥満になることはあるのでしょうか?
母乳によって赤ちゃんが肥満になる・ならないは意見がまだ分かれています。ニューヨーク・コーネル大学のステイシー・カーリング氏らのグループによる新たな研究論文によると、母親が一定の因子を持っている場合肥満リスクがある、としています。(参考記事:肥満リスクは母親にあり! 生後4カ月の母乳育児で太らない子どもになる!?|健康・医療情報でQOLを高める~ヘルスプレス/HEALTH PRESS)
一方、乳児期は褐色脂肪細胞という脂肪が多く、脂肪をエネルギーとして利用するので、赤ちゃんがぽっちゃりしていてもすぐにエネルギーとして消えていく、という考えもあります。
審議はまだ分かれるところですが、ママから母乳が作っれる以上、ママが過剰に糖質・脂質の高いものだけを摂取し続けていると少なからず母乳にも影響が出ると考えられます。
そのため、授乳期のママは栄養バランスのある食生活を心がけてくださいね。
授乳頻度
授乳回数や頻度に関して
母乳は1日8~12回ほど、授乳の時間(授乳間隔)は「3時間おき」が一般的な目安。
ですが、ミルクと母乳で感覚や回数に差が出ますので、どちらで育てているか?の違いは分けてください。
[例]
- ミルクは3時間以上間隔をあける
- 母乳は欲しがったら何度でもあたえてOK
なお母乳育児で赤ちゃんが「口をもごもごさせる」「口をちゅぱちゅぱさせ」「口の周りを触るとしゃぶろうとする」「抱っこした際、顔を近づけておっぱいを探そうとする仕草をする」などが見られるときは母乳を欲しがっているサイン。
ママからすれば常に授乳している感覚になりがちですが母乳は1回の授乳時に10~20cc程の分泌量なのでお腹いっぱいにはなりにくく、赤ちゃんからすればすぐにお腹が空いてしまいますので、これらのサインが見えたら時間や頻度に関係なく授乳しましょう。
よくある13の母乳育児トラブルと解決法
1.乳管閉塞
乳管閉は塞母乳が詰まる・母乳の流れが悪くなる、などの症状で日本人のおよそ25%がかかるといわれます。
なお、母乳が詰まるとおっぱいに母乳が溜まることでしこりが出てきますが、その状態が長く続くと乳腺炎(※1)を発症させる原因になります。
(※1)乳腺炎:乳腺が詰まることで炎症が起こり発熱や痛みが起こる症状。
解決法
乳管閉塞はママの血行不順、赤ちゃんの飲み方や飲む回数などから起こることが多い症状です。ママの血行改善として、おふろにゆっくり浸かる・肩を回しておっぱい周りの血行を循環させる、など試してください。また、おっぱいは赤ちゃんに吸ってもらうことで分泌が増しますので、授乳回数を増やして徐々に詰まりを軽減していきましょう。
2.乳腺炎
乳房が赤く腫れる、痛みや発熱が起こる、などの症状が起こる乳腺炎。乳管閉塞が悪化することが原因となります。
乳腺が詰まりると赤ちゃんもおっぱいを吸うのに疲れてしまうので、一層に詰まりが悪化します。
解決法
たくさんの水分補給・母乳マッサージなどがおすすめ。なお、ひどくなると後が大変な症状のため、すぐに産婦人科や乳腺外科で診てもらうのが最適です。
3.母乳の出すぎは食事が影響?(母乳分泌過多症)
母乳分泌過多症と呼ばれ、母乳が出すぎるママもいます。
ホルモンバランスや乳腺の発達具合が影響しており、乳腺炎を繰り返し引き起こす原因にもなります。
解決法
母乳は多すぎるときは、授乳後にむやみに絞り過ぎない、徐々におっぱいを冷却させる(保冷剤をタオルにくるんで直接肌につけないようにする。)などがおすすめです。他も母乳の姿勢を変えてみる、母乳前に搾乳する、などもよいでしょう。
4.母乳が出ない・出が悪い、足りているか?が不安
母乳育児で話題になることの多い母乳が出ない・出が悪くなるといった悩み。
母乳不足は赤ちゃんの体重が順調に増えない・健康的な体に育たない、など赤ちゃんの成長に影響するため「母乳が不足していないか?」を常に心配するママは多いです。
解決法
赤ちゃんの体重が定期的に増えていない・泣く回数が多い・乳腺炎などのトラブルがある、などが見られると母乳が足りていない可能性があります。母乳不足の原因は睡眠不足・体の冷えや貧血・水分不足・ストレス・栄養バランスの偏り、などが多いのでそれらを改善していきましょう。また、赤ちゃんの飲み方が飲みにくくなっていないか?も併せて確認してください。
5.胸の張り
乳腺炎などの症状になる前段階で胸が張れてくる状態。胸の痛みや発熱が無い状態。
解決法
こまめにおっぱいマッサージをしする・授乳回数を増やす・左右交互に両方のおっぱいを与える・抱き方を変える・などで徐々に張りを無くしてきましょう。
6.噛んでくる
赤ちゃんが噛む、という行動は主に生後4ヶ月目くらいから1歳くらいの間に多く見られます。
噛んでくる理由は「歯が生えかけでむずがゆい」「おっぱいが出ない・まずい」「飲み遊び」「ママが授乳中に赤ちゃんを見ていない(スキンシップ不足)」などが挙げられます。
解決法
「鼻をつまむ(→息をするために口を開けてくれます。」「噛まれたら一時授乳を中断」「授乳中に赤ちゃんのことをしっかりと見てあげる」「遊び飲みしだしたら授乳を切り上げる」などを試してください。
7.母乳を飲んでくれるのに泣く
授乳中に母乳を飲んでくれるにも関わらず泣いてしまうことがあります。
お腹空いてない・母乳よりも気になることがある・便秘中・母乳不足・母乳が出過ぎ・母乳が美味しくない、などが原因と考えられています。
解決法
赤ちゃんの様子を見ながら大本となる原因を探りましょう。母乳の味はママが普段からバランスの良い食事をとれてるかどうか?に影響するため食生活の見直しを。母乳不足や出過ぎは上述したようにママの体調バランスによる影響があります。お腹が空いてないか?は与えた母乳量・食事の回数を普段の平均回数や量から比較してください。なお、食事以外のことに注意が向いているときは、おもらしをしていないか?周りの環境による影響は(騒がしい、など。)?など考えてください。
8.母乳をあげられないときは?
母乳が出ない・出るけどあげられない状況は赤ちゃんがぐずついてしまうことも。
解決法
あらかじめ搾乳しておく、どうしても出ない・与えられない場合はミルクで代用する、などで対応してみましょう。
9.差し乳
普段はあまり張ることなく、授乳時間を空けても張ることがない・赤ちゃんにおっぱいを吸われる際におっぱいが張るようになり、母乳も一気に出てくる差し乳。
普段は胸が張らないので母乳が出るまでの時間がかかる・搾乳しづらい・授乳量が少なくなるのでは?などの心配を持たれる方が多い症状。
解決法
胸が張らなくとも授乳回数を増やすことで母乳量は増えるようになります。また、左右のおっぱいを交代交代に飲ませるのも効果的。母乳がすぐに分泌されないときは母乳を与える前にマッサージをして母乳分泌の刺激を与えておきましょう。
10.母乳育児による赤ちゃんのゲップ、吐き戻し
母乳やミルクを飲ませたら、赤ちゃんにゲップをさせるまでが一連の流れ。ゲップをさせないと吐き戻しの原因となります。
解決法
授乳後すぐに横に寝かせるのではなく、まずはゲップをさせるましょう。赤ちゃんの背中を軽くトントンさせる・まるく抱っこする、などがおすすめ。時間にして5分ほど試していただき、それでもゲップが出なかったら一旦諦めましょう。やり過ぎは赤ちゃんに良くありません。また、ゲップが出ないからといってママが焦ってストレスを感じてしまうと、ママのストレスが赤ちゃんに伝わってしまいます。
11.ちびちび飲み
赤ちゃんが泣いたときにすぐに授乳する。こちらを繰り返すと1回に授乳する量が少なくなります。授乳量が少ないのですぐにお腹が空ようになり、また泣き始めるのですぐに授乳をする。
このように1回の授乳量が少ない飲み方をちびちび飲みといいますが、赤ちゃんの胃袋は中にミルクがたくさん入ることで伸び縮みをして成長していく必要があり、一回の授乳量が少ないとそれができません。
解決法
赤ちゃんが泣いてすぐに授乳をする前に、赤ちゃんが泣いた理由を確認しましょう。思い通りにならない・眠い・ママにかまってもらいたい・おむつが嫌!などもあります。また、寝てるのに突然起きてしまったら嫌な夢を見たのか?眠る前にあった嫌なことを思い出してしまったのか?なども同様。
赤ちゃんは非常にデリケートなので泣く理由も様々ですが、だっこしてあげる・揺らしてあげる・なにかおもちゃなどで興味をもたせてみるなど、泣き止ませるためにとろ組んでみましょう。
[参考:赤ちゃんが泣くときの対策]
1.泣く
2.オムツをとる
3.仰向けで、お腹や胸をやさしくマッサージ
4.うつ伏せにして、背中やおしりを楽しくマッサージ
5.オムツをはかせる
6.抱っこであやしたり、好きなおもちゃで遊ぶ
7.それでも泣いたら授乳
12.双子の完母における注意点は?
双子を完母で育てるケースはめずらしいため、相談できる人が周りにいないことが多いでしょう。
2人になる分、体力面で消耗しやすくなるため周りの協力が一層欠かせません。
[体験談]
私も男の子と女の子の双子を完母で育てました。
その子たちももう2歳4カ月、元気に育っています。
私も、双子を生後1か月から完全母乳で育てました^^
解決法
体験談のように双子ちゃんを完全母乳で育てている方は決して少なくありません。体力的・精神的に大きく消耗されることもありますので無理をし過ぎない・難しいと思ったらミルクに頼る、などは常に考えておきましょう。母乳育児は大切ですが、母子ともに健康的な育児生活を過ごすことが一番大切ですからね。
13.母乳点鼻にデメリットは?
母乳を鼻に注して赤ちゃんの鼻づまり対策をする母乳点鼻。
ですが、母乳の成分が鼻づまりを解消するかどうか?はまだ確証がないため、メリット・デメリットの判断自体が難しく、積極的に取り組む必要は無いでしょう。
母乳のあげ方・飲ませ方
赤ちゃんに母乳をしっかり飲んでもらうためにも、母乳のあげ方・飲ませ方はこまめに見直してください。
赤ちゃんの体をまっすぐにし、授乳クッションなど使って赤ちゃんの口の高さとママの胸の高さが同じになるように調整。
赤ちゃんの顔がママの乳頭に対して正面を向くようにして乳輪部までしっかり咥えさせてください。
咥え方が斜めからになると、おっぱいの出が悪くなったり乳頭を傷つけてしまう恐れがあるので注意してください。
- ワンポイント
なお、赤ちゃんにもママにも使いやすい授乳クッション選びは母乳育児では欠かせません。「楽な授乳姿勢とは?おすすめの授乳クッション14選もあわせてご紹介」でもお伝えしていますので、授乳クッション選びの際はぜひご参考になさってください。
赤ちゃんが母乳を飲みやすくなる授乳姿勢
出典:ママへのちょこっと耳寄り情報「赤ちゃんの抱き方をチェック!」
「赤ちゃんの正しい授乳姿勢や抱き方まとめ。楽な姿勢が必要な理由とは?」でもお伝えしましたが授乳姿勢に多いのが「横抱き」。他にも「縦抱き」「フットボール抱き」「添い乳」などあります。
いつも同じ授乳姿勢だとママが乳腺炎になる恐れがあるので、抱き方をこまめにバラけさせて授乳しましょう。
また、授乳姿勢一つで赤ちゃんにとって飲みやすい・飲みにくいもあります。それぞれ試して赤ちゃんに飲みやすい授乳姿勢を実践していきましょう。
おっぱいマッサージの方法
まずはマッサージする手を洗って清潔にしていただき、授乳用のクッションやタオルなどマッサージに必要なものを授乳場所に用意しましょう。
お湯でしぼった温めたタオルをおっぱいにあてて温めたり、簡単なマッサージをすることで母乳の出が良くなります。また、マッサージと合わせてこまめな水分補給も欠かせません。
- 無理し過ぎない
おっぱいマッサージは母乳の出が悪いときだけで大丈夫、出が良いときは無理に行う必要はありません。また、無理にマッサージをし過ぎ無いようご注意ください。
気分が悪い・お腹が張る・乳頭に痛みや傷がある、などの状態ではマッサージを控えましょう。
母乳育児で大切な授乳中の食事
【ママ向け】母乳育児中の食事レシピ
授乳中に母乳が良く出るための食べ物なら「白米」「冬野菜」「根菜類」、飲み物なら「お水(水分)」「ノンカフェインの暖かい飲み物」「ハーブティー」「タンポポ茶・タンポポコーヒー」「甘酒(ノンアルコールタイプ)」、お菓子(おやつ)なら「和菓子」「赤ちゃん用のお菓子」「野菜チップス」「サツマイモ」「体を温める果物」などがおすすめ。
関連記事 たんぽぽコーヒーのおすすめ5選。悩み別(妊活・母乳)の人気一覧
また、母乳育児中のレシピは健康バランスをとり偏りが無いようにしてください。詳しくは「【授乳中のママ必見!】母乳がよく出る食べ物・飲み物11選をご紹介」でもお伝えしたように、主に和食中心の献立がおすすめです。
【赤ちゃん向け】母乳育児期による離乳食の進め方
赤ちゃんの離乳食は食べる内容以上に「食べることの楽しさ」を伝えるのが大切です。
同じものや同じ食器で延々と食べさせていると、赤ちゃんは食べることに飽きて食べることを嫌がるようになります。
赤ちゃんに食べるストレスを与えないよう、無理強いはせず、赤ちゃんのペースに合わせて離乳食を進めてください。
- 徐々に食べることに慣れてもらう
これまで「飲む」習慣しか無かった赤ちゃんにとって「食べる」ことは全くの新しい経験です。びっくりさせないように、まずはスプーンやミルク以外のものを知ってもらうところから始めましょう。
果汁や麦茶をスプーンで与えてみる・徐々にそれに慣れてもらう・慣れてきたら流動状のもの→半固形食→固形食と徐々に形のあるものへ進めていく、など。順序立ててそれぞれ経験させてください。
母乳はいつまであげるべき?母乳育児と卒乳のタイミング
赤ちゃんによって個人差がありますが、WHOのガイドラインでは「少なくとも4ヶ月以上、そして出来るだけ6ヶ月は母乳だけを与えましょう」とあります。また、より長い目で見ると「2年かそれ以上、母乳を与えましょう。」とも。
平均的には1歳半くらいが一般的ですが、この辺りは赤ちゃんごと・各ご家庭ごとになるので、仮に周りから「まだ飲ませてるの?」など言われたとしても気にする必要はありません。
母乳と服薬
授乳中は処方箋・市販薬に関係なく、ほとんどの薬が授乳中に服用しても問題ないとされています。
ですが、「抗がん剤「放射性の薬」「抗不整脈薬」「ホルモン剤」「向精神薬」「免疫抑制薬」、その他「強い鎮痛剤」などは服用を控えてください。
また、薬の服用に迫られ判断に迷う・心配、といった場合はお医者さんに相談してみましょう。
妊娠と授乳の関係
母乳は赤ちゃんが生まれる前の妊娠中から準備を開始します。
妊娠16週(5ヶ月)に入ったばかりなのに、母乳らしきものが出ます。
妊娠16週頃には、母乳を作るための準備がはじまります。
そのため、胸の張りを感じる・胸のサイズが大きくなりだす、など乳腺が発達して初乳が生成るので乳首から母乳が分泌されはじめる方もいます。
(その後、出産後2、3日を目安に初乳が分泌されるようになります。)
妊娠中からケアを
できることなら妊娠中からの母乳を意識したケア(おっぱいのケアと食事のケア)をしてください。
- おっぱいのケア
ブラジャーでの圧迫をしない・乱暴なおっぱいマッサージはしない・乳糖への強い刺激は避ける・常に清潔にする・ブレストシールドは使用しない。
- 食事面からのケア
妊娠中の体重増加8kgを目安とし、和食を中心に日ごろからバランスの良い食事を摂取しましょう。
『お腹の赤ちゃんに良い食事を』とこだわりすぎて偏った食生活にならないようご注意ください。
母乳育児中に生理が再開したら?
産後の生理再開は平均14.6カ月と言われています。(個人差があるので中にはもっと早く再開するママもいます。)
生理の再開によって母乳が止まる・出なくなるといったことはありません。そのまま母乳育児を続けていきましょう。
なお、ホルモンバランスの影響で生理中の母乳は味が変わることがあります。
赤ちゃんが飲むのを嫌がっていないか?飲んでくれている間ならそのまま続ける、など赤ちゃんの様子をこまめにチェックしておきましょう。
まとめ
母乳育児は母乳で育てたいママが1度は取り組む育児方法ですが、決して簡単なことばかりではありません。
良質な母乳を赤ちゃんに届けるためにもママの体調管理・栄養補給・水分補給など、日ごろから心がけてください。
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